N海県三冠は去年の岩手棋聖戦で岩手県囲碁界に彗星のごとくデビューしていきなりタイトルを取り、岩手王座、岩手アマ本因坊と瞬く間に岩手県序列一位の座に登りつめました。
高校生の時に東北六県大会青森県代表、大学生の時に福島県代表と若くして知る人ぞ知る強豪だったのですが、私はあまり知らなかったのでまだ棋風などはよくわかっていません。
当初はへんてこりんな碁を打つとか乱戦で異常な強さを発揮する力碁とか聞いていましたが、いくつか棋譜を見た感じでは意外とオーソドックスで序盤から終盤までまんべんなく力を発揮するオールラウンダーな碁という印象を持っています。
赤旗名人戦の一回戦から。序盤の局面。
(再掲)
https://gokifu.net/t2.php?s=3391728958430159
(1図:実戦進行図)
下辺白△はKataGo師匠の推奨手と一致していました。しかしなぜこの手が良いのかは理解できていません。
黒は右上の星に掛かり、二段バネのよくある変化。
黒5のハネには白Aアテが一番普通ですが、Bの二段バネ、実戦のサガリ、Cのカケツギなどの応手があります。
実戦は最近好んで使っている白6サガリ。
黒は一旦ここを放置して黒7と右辺に構えました。
(2図:一般的な変化図)
右上は黒1とふくらみ、白2のアテに黒3とツギ、白1子カカエ、黒ヒラキ
となるのが良く見る進行です。これでAIの評価値も黒悪くない。
(3図:黒の手抜きを咎めるには)
白はどのようにここを決めるのかわからなかったので、ずっと放置していましたが、KataGo師匠はずっと白も黒もここを打て(白1のアテ、黒は2図の黒1フクラミ)と指摘していました。
白3までの抜きで後手を引きますが、黒×の持ち込みは大きく、やや白得だったようです。
局後、県三冠から「ここはどう打つものですか?」と率直な質問を受けました。格下の選手に聞くというのはなかなかできることではないと感心しました。