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囲碁AIが出てきて、これまで定石とされてきた数多の変化が使い物にならないことが明らかになってきました。

プロアマ問わず布石はAIでの研究が必須となってきています。
詳しく研究しないまでも相手が研究してそうな複雑な変化を避ける工夫が絶対必要です。
何パターンかやや評価値を落としてでも簡明に分かれる変化を用意しておかないといつ何時相手の研究領域に踏み込んで痛い目にあうかわかりません。ある意味世知辛い時代になったものです。

形勢を悪化させるパターンでもヨーイドンでいきなり劣勢になるのは一番つらいかもしれません。

今回も今年の東北六県大会から題材を求めました。
一日目の二回戦岩手vs青森の先鋒戦です。
黒番は岩手の簡六段、白番が青森の鈴木六段です。
簡六段は10年ほど前まで三連星を得意布石にしていましたが、その当時から三連星は欠陥布石という評価が徐々に広まり、一時は絶滅の危機にありました。
簡六段も数年前からぱったり三連星を放棄していましたが、最近のAIの台頭で三連星が見直され有力な打ち方が出てきたのを機に三連星を黒番で毎局採用するようになりました。

（1図：局面図）
黒番の岩手先鋒の簡六段、得意の三連星から相手のカカリにツケノビの変化です。このツケノビこそAIが三連星を復活させた有力手となります。
白番の青森先鋒の鈴木六段は白10と趣向の手です。右辺の模様化を邪魔しようという手ですが、研究していないとすぐに悪くなることで有名な手でもあります。

白12ではA、B、Cが目につきますが、他にはDのツギ、Eのシマリも考えられます。
一番悪い手は白Aのハイで、黒イと外されて悪いとされています。
白Bは次善手ですが、黒ロと右辺を止める手が有力であまり良くない。
白Cの大ゲイマが最善手です。
これは知識として知っていないと打てない手です。

（2図：経過図）
白は最悪の白12を選択し、黒13と咎められてハマった形です。
この辺は簡六段の専門分野で研究しつくされているところです。
白26まで何と黒の評価値が95%超えで目数にして約10目の差となっています。

すでに勝負が決したと言っても過言ではありません。


（3図：解析図）
白12では大ゲイマ以外は全て悪いという落とし穴とも言える局面なのでした。

https://gokifu.net/t2.php?s=6581702737545546